2022西表ヤエマル採集記4日目

2022年10月26日

 

3日連続同エリア、しかも大歯ヌルという雑魚ムーブをかましてしまったことで僕のプライドはボロボロの小歯(符節欠けB品)だった。

 

しかし、昨日爆睡したからか調子は戻ってきている。

 

ポイントでも採れる気がしないし、なんといっても人の多さにもうんざりしてたので、新規開拓へ行くことにした。

 

 

 

しばしMAP(MPではない)と睨めっこ

 

誰も行ったことがなく、かつ採れそうなエリアを探したがこれがなかなか見つからない。

 

主要な川はあらかた人が入っているし、緩斜面を見つけても人里に近すぎたり、島の中心部から孤立した疎林ばかりである。

 

大原から上原方面へ目を滑らせていくとTを超えてもうSしか残ってないか…と思い始めた頃、一つの緩斜面を見つけた。

 

これが、一夜のドラマを生むこととなった魔境X川へと続く尾根である。

 

 

ここなら採れるかもしれない。
一抹の希望を胸に昼ごはんを食べた。

 

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汚い机…

 

 

 

 


レポートをやったりしているうちに出発は遅くなってしまった。

いつものように2人で食料を買い、一路、夕暮れを追いかけるように上原方面へと向かった。


ワクワク感と共にヌルの怖さも感じながら、

久しぶりの有名山駐車場で細瑠璃を下ろして林道の終点へと向かった。

 

 

しかし、
入口が全くわからないままYAMAPと睨めっこする羽目に。

 

 

この尾根は近いけど、藪が濃そう。
核心部がここら辺とすると繋がってるこの地帯から可能性がありそうなどいろいろ考えて目星をつけてスタート。

 

 

最初は草原を進んで行った。
所々落ちている牛糞を避けつつ進み幾つかの有刺鉄線網を越えた。
10分ほど歩くと牧草地は終わり、
森に入ると待っていたのはいきなりの谷地形だった。

しかもそこにはシダの深い海が広がっていた。


あまり見たことない景色に驚きながらも降下するが掴むところがない上にシダが滑って大変だった。


半分滑落するような形で谷に降りた。


谷には小川が流れており流れはかなり緩い。

お世辞にも綺麗とは言えない川だ。

進行方向を見定めて取り付いた小さな尾根にはスダジイはなくリュウキュウマツの大木が林立していた。

 

昨日までのエリアとの植生との違いを感じる


手こずったもののなんとか尾根を降りて小さな沢を遡上し、やっとこさ本命ポイントに続く尾根に取り付いたものの林内は乾燥していた

 

それからは

 

 

 


激薮

 

 

 

 


激薮

 

 

 

 

 

 


延々と激薮

 

 

 

 

 

そして
至る所にイノシシの痕跡

 

 

 


きつい!
きついぞ!!

 

その上いそうな気配が今のところない。


奥に進まないとダメそうだ。

 

以前として尾根の中心は藪で進みづらいので少し巻いたり隙間を縫うようにして進む。

 

蔓植物も多く引っかかっては声を上げる。

 

 

そうして藪を漕いでいると右手にチクっとした痛みが。掴んでいた植物を見るとイラガが。

 

 


意気消沈。。。

 

 

 


幸いなことにジンジンとした痛みが残るが手が使えなくなるほどではなかったので先を急ぐ。

 

 

 

しかし今度は右手に
小さなムカデが降ってきた。

 

毒虫パラダイスかここは!


だいぶ体力も気力も削られてきた。

 

入山前、手前に存在する台地を中心にそこから伸びる尾根を幾つか見ればどこかしらにはいるだろうと思っていた。

しかし蓋を開けてみれば、2つ尾根を下ってみたところでスダジイがまず少ないし、地形も意外と急だし藪も濃かった。

 

そのため計画を変更して奥へと続く尾根を進んでいくことに決めた。

 


しばらく藪と格闘しながら進んでいると左手の藪の中にしょぼい立ち枯れの様なスダジイを見つけた。


普段なら見ない木だが、スダジイが少ない中いるとしたらこんな木しかないだろうと思った。

 

 

 

藪を掻き分けて木にたどり着く。
すると、その時はいきなりやってきた。

 

 

 

 

 

 

小歯!

 

 

 

もう枯れている木肌に

小歯がくっついている情景が
目に飛び込んできた。

 

 

 

気分がパァァァっと明るくなるのをかんじた。
もう写真を撮る余裕などなく、プロボクサーのジャブ並みの速さでそいつを掴んだ。

 

それはどこにでもいるような普通の小歯だった

けれど、こんなに嬉しいんだってくらい嬉しかった。多分、マルバネ採集って本来こうなんだって思った。

 

勢い余って叫んでしまった。

 

 

一頭いれば2頭いる。

しかし、木を見ましてみるもその姿はなし。


だが、近くにもう一本しょぼい木があるのを見つけた。

 

 

 


多分いる

 

 

 

 

 


直感した。

近づいてみると

 

 

 

そこには

 

 

 


4匹!

 

 


しかし、全部小歯…

 

でもそんなことはどうでもいい
全部キープしてしまった。


じゃないとやってられなかったというのが正確かもしれない。

 

よっしゃあ
やったぞ!
これで帰れる…

 


安堵も束の間、先へと進んでいくと今度は藪に絡まれた普通の木が。


裏に回ると
中歯が高めの位置にへばりついていた。

 

小5匹から→中ときたか

確実にステップアップしている。

 

 

 

 

しかし以前として薮は濃い。
辛い状況は変わらない。

どうしようもなく
叫びたくなった。

 

大歯といえばMP!
ヤエマルといえばMP!
虫研といえば!
北大といえば!
クワガタといえばMP!
伝説のヤエマル採集家!
MP!

 

疲れていた。

 

 

叫びながら行進していると薮が開けた。
尾根の下の方まで見渡せる。

緩斜面に大きなスダジイがいくつも生えている。

ペースを上げて見回るもマルバネの姿はない。

上り下りを繰り返し見つけたウロのある木を舐めるように見て回ると、


裏側に

 

 

 

 


大きなアゴ

 

 

 


おおっ

これは

 

 

 

 

 

 

 

 

イボ大

 

 

 

 

くっ

このイボさえなければ
切実に思った。

 

それから数本目で
今度は大きな木の根元のウロにデカイケツが!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メスである。

 

 

 

 

 

 

残念ながら大歯ではなかったものの
小→中→イボ大→メス
と、確実にステップアップしている


こうなれば次は大歯だろう

 


しかし時間がない
けど苦労した分引き返す気になれない
疲れていて時間感覚も鈍っていた。

この尾根だけ下ろう。
そう思って降りる事にした。

 

 


しかし中々追加は得られない。
大木はあるのにもぬけの殻なのだ。

 

 

 

そうこうしているうちに
だんだん川の音が大きくなってきた。

後で知ることになるがこの音の主こそが秘境K川である。

 

もう少しで尾根が終わってしまう。
見える範囲ではあと3本くらいしかない。

その中でも大きいのが2本連続している。


一本目をサラッと見回り2本目へ
なかなか太い木だ。
見た感じついてはいない。
裏についていてくれ!

そう願いながら素早く回り込む
と、


なんと、

 

なんと!!

 

 

 

 

 


いる!

 

いる!

 

でかい!!

 

 

 

 


大歯!

もう、どう見ても大歯!!

 

 

 

 

うおおお!

 


気がついたら
奇声をあげていた
そして妖しくワインレッドに光るそいつを引き剥がし
また叫んだ。

 

 

 

 

ウオオオオオオオ!

 

 

 

 

 

疲れも場所も時の流れも全部忘れて
ひっそりと流れるK川のほとりで

喉が痛くなるまで叫んでいた。

 

本当に嬉しかった。
心が痺れていた。

危うく
泣いてしまうところだった。

 

冷静になって
時計を見ると12時前

 


うそ、
絶対に間に合わないやん

 

急いで帰ろうとするも薮が濃すぎて全然進まない

細瑠璃、マジでごめん

 

本当に薮が濃い
二度と行くまいとおもった。

 

 

 

おしまい