2023夏奄美遠征1日目

 

まえがき

 

虫屋にとって奄美大島は特別な島である。
カミキリではモリヤイをはじめとする多種多様な特産種が、クワガタではアマノコやスジブトが、チョウではアキリデスが虫屋の目を輝かせる。

 

ここ二年間、夏になると決まってむしけんガタ屋LINEは騒がしくなり、奄美をはじめとする離島実況で盛り上がった。

シーズンが終われば経験者は箱を囲んで奄美の思い出話に花を咲かせた。

毎度どの個体がかっこいいだの、〇〇(地名)がどうとかで盛り上がっていた。

その時の皆の顔がそれはそれは楽しそうでそこに混じることができないのがいつも悔しかった。

 

特に

「夏の奄美の空気を思い出す」

そんなフレーズに一人共感できないのが寂しかった。

 

このように僕は大学4年にして夏の奄美未履修であった。
大学入学前には1,2年のうちに奄美に行くつもりだったのだが、色々あって今夏までずれ込んでしまったのだ。

ギリギリ滑り込みセーフであることを願いたい。

 

今回の目標はもちろんモリヤイ

遅ればせながら夏の離島ネキ初チャレンジである。

 

その他は

オオシマミドリ

アマミモンキ

アマノコ73mmUP

スジブト60mmUP

アマミカギモンミドリホソトラ

各種ビロウド

アマミセンノキ

オオシマヤハズ

アマミモモブトコバネ

アマミトラ

アオウバタマ

etc...

 

あげたらキリがないが

色とりどりの憧れの特産種達が今回のターゲットだ。

 

期待を胸に飛行機に乗り込んだ。


飛行機内では最近発売された素晴らしい本、『鹿児島県のカミキリムシ』を読み込み各種カミキリのホストをできる限り頭に叩き込んだ。

 

時間はあっという間に経ち、飛行機は着陸した。

 

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ついてしまった!!!


強い日差しが照り付けら中、息を思いっきり吸い込んだ。

水分をたっぷりと含んだ温い空気が肺を満たす感じがした。


これが

夏の奄美

 

まずはその一端を感じた

 

空港を出たら早速レンタカーを借りた。
車はピンク色のかわいらしい軽だった。
早速Bluetoothを繋ぎ、離島プレイリストをかけてぶち上げていく。


時間は13時半

モリヤイには遅い時間だ。


今回の遠征はモリヤイの発生時期的に前半戦が勝負であることは分かっていたし、午前はモリヤイ、午後はその他カミキリ、夜はバナトラと過密スケジュールになることもなんとなく予想していたため、もしかしたらこの機会を逃したら観光は出来ないかもしれないと思い、空港近くの名勝、あやまる岬へ。

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海が青い!!!
西表とは違った青さだ。
手前はエメラルドブルーで沖は深いブルー
どちらにしても濃い。

 

これが奄美、、
すげぇや

 

感動冷めやらぬままカメラを持って展望台に向かう。

 

うおおー

美しい
雄大だ、

 

なんて思っていたら目の前を黄緑色の光沢が横切った。
そのフォルム

 

アヤムネスジタマムシ!!!

 

いきなりの南国美麗タマムシに心拍数は一気に上がった。

そいつはしばらく旋回したのち展望台から手が届きそうな位置のハゼの木の樹冠の葉に止まった。

 

しかし、絶妙に届かない。


足元を確認するも足掛かりは存在しない。
木の枝を探すもそんなものは無い。
でも車に戻っていると多分逃げられてしまう。

指を咥えてそいつが運良く手前に飛んでくるのを祈った。
何回か飛んでこちらに来そうな時もあったがギリギリ届かない。
願いも虚しくアヤムネは飛んでいってしまった。。。

 

悔しいが、それよりもいきなり現れた輝く大型甲虫に僕の胸は高鳴っていた。

 

こうなってしまっては止まらない。
もう完全に虫採りモードに入ってしまった。


走って車に戻り長竿と毒瓶を取り出してルッキングを始める。
サペルらしき食痕のある葉を掬うも何も入らない。
もうなんでもいい、早く第一甲虫を見つけたい。
その一心でスウィーピングしていると黒い丸っこいシルエットが。

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第一甲虫
虹色のゴミダマ

 

よく分からんが記念に毒瓶に放り込んだ。

その後付近の小道を散策しているとアカメガシワの花が。

何か来ていないか見るとなんと葉の上にカミキリのシルエットが

その葉をスウィープしてみる

 

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(車内撮影)


おおお

いきなりケルシウムだ。

いかにも南って感じだ!

 

その後は花を救っていく。

 

ヨツスジトラが入った。

特産種ではないがカミキリが網に入ると嬉しい。

 

リュウキュウツヤハナムグリ
どうせこれからバナトラで嫌というほど見るだろうが採集しておく。
普通に美麗種だ、、

網が汚れるのが難点だが。。。


他にもアカギカメムシなど色鮮やかな南方系の種を追加してここでは終了。

 

良い気分気分で車に戻り名瀬方面に向かう。


時刻は15時

 

車を走らせていると見覚えのある店名が

 

「ひさ倉」だ。

 

日程的にいつ行けるか分からないしそもそもお腹が減っているので食べていくことに。

ラストオーダーは終わっていたがご厚意で食べさて貰えた。

注文するとすぐにスープが運ばれてきた。
鶏飯はただの鶏めしのようなものだと思ってたのでお茶漬け風なのは意外だった。

ご飯と具材が続き、
いざ食べ方を読んで鶏飯を錬成した。

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これが鶏飯か、
  

とてもおいしかった。 

 

時刻は16時。

叩き網ならできそうだ。
とりあえず名瀬方面へ向かいながら適当な山道に入っていく。


峠付近にいくつもある待避所には伐採した葉がついた枝が置かれていた。

 

これは流石にいるだろ!


自信満々で叩くも何も落ちない。
意外と甘くないようだ。

 

次の待避所へ
ここでも落ちない。
おかしい

そして次の待避所へ
今まで見たことない種類の枯れ枝が見える。
少し期待して叩くと

 

ぽてっ

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おおやっと落ちた

さらに叩くと今度は
大きなシルエットが!

 

オオシマヤハズカミキリ

 

おおでけぇ

この木だったか、、

 

どうやら粗朶ならなんでもいいわけではなく特定の一種類の木に集まってるようだ。

次の待避所でも同じ木の粗朶からヤハズや、が採れた。


割と葉がたくさん付いていたのでしばき倒すとアリに紛れて小さなカミキリのシルエットが!

 

チビコバネだ!(驚き)(超同定)


レア臭がする。

しかし名前がわからない

帰って同定したら

 

リュウキュウチビコバネ
だった。
どうやら奄美産は珍品らしい。

ちょっと嬉しい。

 

とりあえず1つ成果は出したので安心して名瀬に向かう。

道中適当な林道に入ったがめぼしい成果は得られず。

最後に時間は押していたがモリヤイの林道を下見したが道を違えて引き返した。

 

日暮前に宿にチェックイン
自分の性格上、初日は気持ちを押さえてても飛ばしてしまうので最初の二日間は贅沢にもホテル泊で体力を温存する計画だ。

まだ外は明るいのでとりあえず風呂に入った。


大浴場キモチェーー

さっぱりしたのでそのままイオンに買い出しへ。
今日の夜ご飯と明日の朝、昼ごはんを仕入れた。
大きなイオンだった。
物価も安くて驚いた。
卵も沢山あったことに驚いた。
いつも通りのポカリとこれからのハード日程に備えてガッツギアやクリーム玄米ブランなど栄養食を買い込んだ。

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↑これから毎日のようにお世話になる半額手巻き寿司。いつも時間がなくて運転しながら車内で頬張っていた。

 


日は暮れた!
さあ勝負だ!

待ってろクワガタ達!!!

 

 


意気揚々と

街頭を探して車を走らせる。

 

 

 

 

 


走らせる

 

 

 

 

 

 

 

 


走らせる

 

 

 

 

 

 

 

全然いねぇ!


LEDしかない!


てかそもそも月めっちゃ出てる!

 

 

本来なら今日はセーブするつもりだったのに、クワガタ0人という事態を前にして、それだけは避けたいというプライドが帰宿の邪魔をした。


今まで見なかった集落の中や山道を見て回る

しかしクワガタの姿はない。


途中からはみかん畑を探したが全然見つからない。

 

 

まずい。。。

クワガタ0人は嫌だ!!!!

 


焦って細瑠璃にヘルプの電話をかけて苦戦している旨を伝えるとみかんばたけはGoogleマップで見つけるものだということを教えてもらった。


「こんなところよさそうじゃない?」

と親切にも1箇所めぼしいところを教えてもらったが、1匹目は自己採したいという気持ちから違うところを選定した。

 

Googleマップに案内させたところロングダートを走る羽目になった。

 

海沿いの真っ暗な悪路でガッチャンガッチャンしながら一体俺は何をしているのだろうと思った。

 

 

頭の中に鈍い疲労感が広がる中なんとか目的地に到着したが、畑はちゃんとした柵に囲われている上に犬に吠えられまくってあえなく撤退した。

 

悪あがきで街灯を見て回ったものの
結局この日はクワガタを見ることは叶わなかった。

 

情けねぇ。。。

このクワガタ島でクワガタ0匹とは。。。

 

 

 

疲れた。。。

 

毎度のことだが初日はセーブしようと思いはするものの結局チンパンになってしまう。

真剣にラジオのお悩み相談にでも泣きつきたいぐらいだ。

しかし、それだけ楽しんでいるということなのだろう。実際楽しかった。

 

粘ったせいで結局大浴場の営業時間は終わっていたのでシャワーを浴びて少し採集品を眺めて長い一日を終えた。