2022西表ヤエマル採集記3日目

2022年10月25日

 

午前は先輩と西表野生生物保護センターへ。

 

@到着前

 

ガコンッ(衝撃)

 

何を思ったか細瑠璃が縁石に乗り上げたようだ。

後ろを走る先輩方は転がっていくホイールを目撃していた。

f:id:maritimus09:20230926144009j:image

 

センターではヤマネコロードキルを回避する自動車教習所にあるようなシミュレーション装置で盛り上がった。

f:id:maritimus09:20230926092755j:image
f:id:maritimus09:20230926092758j:image
f:id:maritimus09:20230926092802j:image
f:id:maritimus09:20230926092805j:image
f:id:maritimus09:20230926092808j:image

 

 

昼ご飯は新八食堂で。

 

今回初の新八

やはりここが1番好きだ。

 

毎度ありえんいい匂いがする

にんにく豚丼を注文

疲れた体ににんにくの旨みが染み渡る。。。

f:id:maritimus09:20230926092723j:image

 

食後は大学の授業のレポートを書かなくてはならなかったので

一度宿に戻った。

 

 

 

 

さあ採集である。

 

しかし、

昨日から下痢が止まらない


体を酷使しすぎたのか内臓系がやられていそうな感じだった。

 

そのため出発も遅くなってしまった。

 

この日は初年度に発見したポイントへ行くことにした。

いつものように斜面を急いで登っていると、
途中でかいくわ先輩に出会った。

 

絶賛大当たり中のかいくわ先輩は今日も確変エリアを見て周るらしい。

お互いポイントが被っているのではないかと恐る恐る確認したら無事違かったので安心して別れを告げた。

 

やがてポイントに到着。

 


しかしそこは踏み跡だらけだった。

 

日没を迎え、大木を見回ってみるものの
いたのは小歯が数匹。

 


きつい…

いない
あまりにもいない

 


違う尾根に行こうと転戦するが
ここで腹痛に襲われた。

 

ツルアダンに絡まりながら下痢をした。


惨めだった。

 

念の為トイレットペーパーを持ってきていたのが唯一の救いだった。

 

 

その後も体がいうことを聞かない
胃は痛いものの体は軽くなったので違う尾根を見て降りることにした。


しかしそこにはツルアダンの海が。


身動きが取れなくなりしかも急斜面
降りるのを断念して
もう一つ奥の尾根を目指すが

なんとその方向からライトが二つ見えた。

 

絶望感。

 


方角を確かめると狙っていた尾根のうち奥の方だと思ったので手前の変な地形の尾根を降りていった。


巨石転がる谷を蔓に捕まりながら降りたりして、

ここは採集圧は低いだろうと思っていたらまさかのライトが


くそう

 

 


そちら側からこられたらもうこの尾根を降りるしかない。


しかしそこは小歯1匹もいない虚無尾根だった。

環境はいいのでマルバネというマルバネが全て取り尽くされたとしか思えなかった。

 

 

 

しょうがないのでGPSと睨めっこしていたら

地形図でも見つけづらい小尾根を発見

 

期待を胸に進んでいくと

 

 

 

小歯が1匹

 


ここは掻っ攫われてないかもしれないと思い周囲を駆けずり回ると小歯が数匹


そして

 

 


なんとかイボ大。


中歯かとおもった
まぁ、中歯なんだけど

 

最後にヤエネブを1匹摘み下山した。

f:id:maritimus09:20230926093239j:image


休まないといけないのに結局今日も頑張ってしまった。


ひどい疲れだ。
胃がやられている。
栄養が全く吸収できていない感じがする。

 

なんとか車にたどり着き暖房をガンガンに効かせて細瑠璃があるポイントの入り口まで運転。


着いたらしばらく寝てしまった。


しばらくして細瑠璃が戻ってきた。

 

車は運転してもらった。

帰宿後すぐにお湯に浸かり、
体を温めた。


何か食べなくてはと思いカップ麺を作ったが体が受け付けず、ほぼ食べることも出来なかった。


細瑠璃に胃薬をもらった。
結局ラーメンを前に座りながら気絶するように寝ていた。


細瑠璃が寝た方がいいと片付けもしてくれた。

優(やさ)瑠璃だった。

 

どうやらバルコニーでは先輩方との飲み会が開かれていたらしかった。

参加したかった(涙)。

 

 

 

 

 

2022 西表ヤエマル採集記2日目

2022年10月24日

昨日あんなのを見せれたらいてもたってもいられない。


同じエリアでも2日連続で採れるのかを確かめる意味でも昨日と同じ場所へ。


昨日張り切りすぎたのか脚も腕も筋肉痛だ。

それでもはやる気持ちを抑えられずに猛スピードで斜面を登っていく。

 

ちょうど日が暮れたところでポイントに到着。

意気込んで見回るが、

 

 

 


いない

 

 

 

 

 

 

 


いない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


全然いない

 

 

 


あまりにもいない

やはり2日連続は厳しかったか。。。

 

 


少し下ったところでなんとか1大歯捻り出したものの、これはダメだと思い目星をつけていた他の尾根へと移動することに。

 


しかしこの尾根への道のりが割と遠く険しくアダンも多く休養を求めている体にはきついものがあった。

 

体に鞭打ちなんとか尾根に到達したもののなんとマルバネは1匹もいない

 


が、人の形跡は沢山ある。

 


先を越されたか。。。

 


流石に疲労が無視できなくなり始めて休憩した。

メンタルも終わっていたので音楽をかけ二曲歌った。


そうしたら無事メンタルが復調したので隣の尾根に取り付いた。

ここも環境はまあまあ(良いと言うほどではない)だが、全然いなかった。


しぶとく回っているとやっと小歯がちらほらと見られたがここで終了。


下っていくと先行者を発見。
この尾根も既に抜かれていたのか…?

 

あまりに人口密度が高い。。

しょうがないのでエビを取ったりして遊んだ

 

f:id:maritimus09:20230926085818j:image

 

そうこうしているうちに

時間になったので下山した


途中昨年のベニボシの時につけていたログが役立った。

 

 

 

 

 

渋い夜だった。

2022西表ヤエマル採集記 1日目(エピローグ)

初日なのにエピローグ?と思われた方も多いだろう。

前回の記事に書いたように初晩の成果は大歯9頭。

初日としては大成功と言えるだろう。

普通ならすぐにでも宿に戻りシャワーを浴びてカップ麺を、といったところだが

 

 

驚くべきことに

この夜はまだ終わっていなかった。

 

 

 

そうこれからが本番だったのだ。

 

 

 

エピローグ(初日)

 

駐車場には既にむしけんの先輩がいた。

MPさんである。

 

 

しかしどうも様子が変だった。

MPさんが語りかけてくる。

 

「応援してくれてありがとう。

Jのおかげだよ」

 

 

 

嫌な予感がした

 

 

 

僕はMPさんに一つのタッパーを見せられた。

 

 

かぽっッ

 

 

 

丁寧に開けられたタッパーの中にはある1匹のヤエマルがいた。

 

それは見たことのないサイズのヤエマルだった。

 

そいつはありえない存在感を放っていた。

 

僕はそのあまりのオーラに気圧された。

 

 

ッッッッ!!!!!

 

 

 

「何ミリだと思う?」

 

 

不敵な笑みを浮かべてMPさんが訊いてくる。

 

僕はチンパンジーサイズの脳で考えた。

 

見たことのないサイズ、つまり66㎜は絶対にある。

 

でも明らかにデカい

 

もしかして68㎜とか?

 

いやありえない

 

でもありえないくらいデカい。

 

現実とすり合わせ、僕の目ノギスは67㎜という数値をはじき出した。

 

 

「67㎜?」

 

訊いてみた。

 

 

MPさんはそんな僕を余裕で見つめ返す。

 

 

「はい、これ」

 

 

ノギスを渡された。

 

 

 

 

僕はその時点で悟った。

 

 

恐る恐るノギスを当ててみる。

 

 

 

嘘だ。。。

 

 

嘘だろ。。。

 

 

 

そいつは優に68㎜を超えていた

 

 

 

 

 

 

 

なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!!!

 

 

 

 

 

 

まったくもって意味が分からなかった。

 

68?

68?

68って、、

うそでしょ

信じられない

 

僕は驚きすぎて語彙力を失った

 

 

MPさんに頼んで手に載せてもらった。

 

重みを感じた

 

そして手に載せて分かる目がバグるサイズ感。

デカすぎる。。。

 

そう、67㎜ぐらいは想定していたのだ。

あわよくばこの手で採ってやろうと思っていた。

しかし68㎜後半は想定外だった。

 

もうあんまりにデカすぎて嫉妬すら憶えなかった。

 

みんなも同じような感じで、純粋におめでとうと祝福していた。

 

 

 

 

 

 

 

パイセンは後にこう言った

「一人だけ50mを3秒で走るやつがいた」

 

Neoさんはノギスを当てて言った

「70㎜でこんだけしか隙間開いてねぇ」

 

僕は思った

「今まで大歯だと思ってたの、みんな小歯だったのかもしれない」

 

細瑠璃は言った

「うぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉおぉっぉっぉ

うおー MP―――――」

 

 

 

この日こそが伝説のヤエマル西表島ギネス更新の夜なのであった。

一生忘れない夜。

本当に立ち会えたことを幸せに思う。

 

 

おわり

2022西表ヤエマル採集記1日目

 

本編

2022年10月23日

in石垣島

 

売店で新商品と思しきさんぴん茶ミルクティーを買い早めにフェリーに乗った。

f:id:maritimus09:20230925172950j:image

 

港に着くとパイセンと細瑠璃が迎えに来てくれていた。

パイセンは就職で北海道を離れてしまったため久々の再会となった

何とも不思議な島での再会。

お互いに現状を探りながらレンタカーは一周道路を進んでいく。

 

そして約束の場、マンゴージュースで有名なパーラー美々へ。

我々が到着してから十数分、ぞくぞくと不審な車がやってきた。

こうして、とうとう既に過半数が社会人となってしまった大学系昆虫サークル、むしけんのメンバーが一堂に会した。

 

みな全国に散っているのでここでの再会が1年ぶりだという人も少なくない。

久々の再開に多くの言葉を交わしながら、着席した。

 

早速、全員でソーキそばとマンゴージュースを頼もう、、と思ったら、マンゴージュースは残り3個しかないらしい(こんな時間に大所帯で来た僕らが悪い)

 

急遽じゃんけん大会が開かれた

 

勝者

Neoさん、パイセン、細瑠璃

 

f:id:maritimus09:20230925172314j:image

ぞくぞくとメニューが到着する。

「やはり、ソーキそばを食べずには始まらないっ!!!」

みんなぺろりと平らげ、記念に集合写真を撮った。

 

 

一連の会合を終え

僕らは気持ちを高ぶらせながら宿へと向かった。

 

 

宿には既に細瑠璃が滞在している。

部屋に入ると除光液の香りが充満していた。

すぐに荷物を整理して、採集準備を済ませた。

 

さあ採集である。

初日は去年見つけた、大当たりポイントに行くことにした。

64.9×2を筆頭に多くの大型大歯を恵んでくれたエリアだ。

 

駐車場に着き、準備をしているとNeoさんとポテトさんがやってきた。

折角なので途中までご一緒することになった。

 

いざ入山

既に日暮れは近く、弱い雨がパラパラと舞っていた。

 

水分をたっぷりと含んだ亜熱帯の空気

露出した赤土。

常緑樹の濃い緑色の葉。

岩盤上を流れる濁った川。

 

これだこれ

テンション上がってきた

帰ってきたぞ西表!!!

楽しむぞ!!!

 

 

やがてNeoさんとポテトさんと別れて山肌にとりついた。

GPSに残る去年のログを忠実にたどっていく。

 

日没は間近だ。

太いスダジイを眺める目に期待が宿る。

 

あふれる脳汁

どんどん理性が薄れていく

だめだ今年も結局脳汁を燃料に動くマルバネサイボーグだ。

 

まぁいいだろう

それでいいんだ

 

 どこだ

 どこだ

 ヤエマルッッ!!!

 

ウォォォォ!!!

 

 

知能はすでにチンパンジー以下である。

 

高いテンションのわりに1頭も見ることなくポイントに到着した。

 

大木の下で少し強まった雨を避けながらとっぷりと日が暮れるのを待った。

 

やがてスダジイの葉の輪郭は見えなくなった。

 

 

 

活動、開始である。

 

 

しかし、開始早々アクシデントが起こる。

ヘッドライトの調子が悪い。

取り外して良く見てみると電池ホルダーの所の留め具のツメが取れてしまっていた。

これでは勝手に蓋が開いてしまう。

はめなおしても一分もすると消えてしまった。

電池が雨でぬれるリスクもあったが、もうチンパンジーだったのでベルト部分で最低限簡易的な固定を施して出発することにした。

 

気を取り直して出発。

大木を見て回った。

 

 

 

いない

 

 

 

 

いない

 

 

 

お、少歯

 

 

最初のマルバネはやはり興奮した。

今年もこの季節が来たんだと実感した。

 

始まったのだ。。

 

 

さらに進むとすぐにヤエマルの姿が。

しかも大歯だった。

小さくガッツポーズ。

大歯を手づかみして裏に回るとなんとさらに数匹のヤエマルが!!

しかももう一匹大歯もいる。

 

f:id:maritimus09:20230925172748j:image

 

ハイボルだぁーーーーーーー!!!

注)ハイボル:ハイボルテージの略。むしけんマルバネ界隈では一本の木に多産する状況で用いられる。

 

いきなりのハイボルをかましてしまった。

逃げるはずもないのに焦ってしまう。

逃げるから、というか大歯に興奮していたからかもしれない。

 

しかし蔓にヘッドライトが絡まり、電池ケースのふたが開き電池が湿った林床に零れ落ちる。

電池を拾いはめ込むも濡れているためショートしないか不安がよぎる。

焦った手つきで蓋を閉めようとしてもなかなか閉まらない。

 

ん、、、

とりあえず諦めて放置することにした。

そう

 

僕はすでにチンパンだった。。。

 

 

代わりに手持ちライトで照らし、大歯を剥がしてケースに入れる。

ガコっとふたを閉める

 

「良いっ!!」

 

落ち着いたところでヘッドライトを修理した。

 

 

その後は周囲を巡るも大歯の追加は得られなかった。

転戦し隣の尾根にとりついた。

しかしここも振るわなかったので結局、元の尾根に戻ってきた。

 

すると

 

 

大歯!

 

大歯!!

 

大歯!!

 

 

なんと三連続大歯である。

 

 

今年の確変ゾーンはここだったか。。。

しかしサイズは伸び悩み、どれも60㎜前後。

特大はいない。

 

そのまま進んでいたら降りてきてしまったので再び隣の尾根へ。

ここでも小ぶりの大歯を重ねていく。

しかし結局この尾根でも特大は出ず、また最初の尾根に戻った。

 

特大を求める亡霊のように彷徨っていると、

中太のスダジイの樹上のうろに大きなシルエットが。

 

おおおっ

デカい!!!

 

f:id:maritimus09:20230925172555j:image

 

べりっと剥がして急いでノギスを当てると63㎜近くあった。

裏に回るとなんともう一匹大歯が。

しかも62㎜越え。

おお

これは凄い!

最高だ!!

 

 

これで大歯は9頭

初日にしては上々だ。

十分すぎる成果と言っていいだろう。

 

 

疲れ果てていたが細瑠璃との待ち合わせまで時間がないので駆け足で下山することにした。

 

下っているとポテトさんに遭遇した。

ポテトさんは2年間マークしていた木から小歯が出てきたらしく嬉しそうだった。

こういう楽しみ方もいいなぁと思った。

渋くて大人なポテトさんらしい採集だ。

僕もいずれはチンパンを卒業して大人の採集を、、なんて思う。。。

 

 

その後もさらにギアを上げて引き返すが体が言うことを聞かない。

初日から無理をしすぎたか。

 

その後は小歯や中歯をちらちら見かけるだけで大歯はゼロ。

そのまま麓に降り立った。

急いで林道を引き返し、駐車場に辿り着いた。

 

2022西表ヤエマル採集記 モノローグ

記念すべき一投稿目は昨年のヤエマル採集記です。

拙い文章ですが楽しんでいただけたらと思います。

それでは、、、、

 

 

ノローグ

今年もこの季節がやってきた。

残暑も過ぎ去り、涼しい風が吹き始める

そう

『海だ!山だ!ヤエマルだ!

ドラマとプロセスいっぱいの脳汁の秋!!!』

 

である。

 

かく言う僕もヤエマル採集は今年で三年目。

玄人の方々に言わせればまだまだ“マルバネキッズ”なのかもしれないが、鬼畜な先輩に山中で置き去りにされたあの晩よりは夜の山歩きにも慣れ、環境を見る目も養ってきたつもりである。

 

それらを駆使して挑む今回、目標は昨年惜しく叶わなかった特大ラインと言われる65㎜オーバーの採集である。個人的にはこのサイズになるとデカいと感じる63㎜よりも1周り凄みを増し、選ばれし大歯としての風格を帯び始めるような気がする。

(昨年すでに64.9㎜は採集しており、それはもう65とおんなじだろうとも思うが、そこは気持ちの問題。ガタ屋に揉まれて植え付けられてしまったサイズ狂的思想だ)

 

例年、僕は脳筋サイボーグに成り果て、大歯を求めて夜の山を彷徨う満身創痍の亡霊のようになってしまってしまっていた。そのため、今年こそは西表の自然を感じ、この地に戻ってこられたことへの感謝を忘れないようにと心に決めた。

そして沢山のドラマとプロセスを採集することも忘れないようにしたい、とも思った。

 

 

 既に入島しているむしけんの先輩や相棒・細瑠璃の成果に怯える夜を越え、まだ見ぬ特大を夢見て単身、飛行機に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

ブログはじめました

やろうやろうと思い続けて数年間。

とうとうブログを開設しました。

カミキリを中心とした虫採りブログです。

 

ゆるくやっていこうと思います。

最初のころは過去の採集記などを上げていくつもりです。

 

どうぞ、よろしくお願いします。。。